ぜんそくジャーナル

 

110号ジャーナル

気になることを気にしない/ 手軽ですばらしい心理療法           


■気になることを気にしない
喘息という病気の一番もとになっている原因は、人間が「猿から人間に進化した」ことによって、脳の大ききが400gから現在1300gへと3倍以上も大きくなって、知能の脳(第四の脳)のほかに、適応行動の脳、つまり人間としての賢さとたくましさを形成する脳(第三の脳、これを喘息中枢という)がつくられたからなのです。
人間は、「進化」という手段に脳を大きくする方法を選んだうえ、そんなに合理的に設計して脳を大きくしたわけではないので、たくさんの動物の中で人間だけが「脳の故障をおこしやすい動物」になってしまいました。
 
■脳が故障をおこしやすい
例えば、ちょっとビックリするだけで生きる原点である呼吸が苦しくなったり、心臓がドキドキしたり、眠れなくなったり、食欲がなくなったり…。
それだけでなく、動物がうまく生きるための原点である「気くばり」の働きも悪くなってしまって、必要以上にまわりに気を使う、自分を責めて傷つける、そうかと思うと、相手をグサリと傷つけることを言う、など「賢さとたくましさの第三の脳」は、とにかく調子の狂いやすい仕組みをもった脳なのです。
とにかく、人間は、不完全な第三の脳を持ってしまったので人間として健全に生きにくい動物になってしまいました。
 
■喘息中枢を知ろう
喘息中枢といっても、食中枢などのように、一つの中枢があるわけではなく、この第三の脳そのものが喘息中枢なのです。
この第三の脳は親の育て方によってつくられる人間形成の脳、狼が育てれば狼らしい人間がつくられてしまう脳なのです。喘息になる人の大部分は、子供の頃、喘息になりやすいように、この脳の仕組みがつくられていることが多いのです。
ここの働きが、細かく気を使いすぎる、ちょっとのことで心が傷つく、落ち込む、生き甲斐がないなど、たくましくない状態になると、自律神経の働きが乱れ、喘息発作ということになってしまうのです。
昔から人間は、この人間の脳の欠陥を知っていて、欠陥のある場合を小人物、その逆の場合を大人物といい、大人物になるために日々努力をしたり、特別な努力をして、いろいろな方法をとったものです。
つまり大人物になるためにいろいろ努力をしました。
しつけ、育児、修行、かわいい子には旅をさせよ、豊かな人生体験、40才にして惑わずという言葉などなど、みな第三の脳を健全にして大人物になることを目標にしたものです。
 
■だいじんぶつ大人物療法
喘息も、第三の脳が健全になってしまったら、その時スカッと治ってしまいます。
そのため、喘息に対して、いろいろな心理療法が試みられています。自律訓練法、ヨガ、禅、家族療法、交流分析などなど数えあげたらキリがないほどです。
しかし、従来の心理療法は、これはというほどの効果がないことは周知の事実です。
そこで考え出されたのが「気になることを気にしない」心理療法です。
この治療法は、時間がかからない、医者や治療士がいなくてもよい、やれば必ず身につくうえ、その内容は「総合心理療法」といえるものなのです。
しかもこれは、久徳クリニック独自のものです。
例えば「タタミをなめる」ことの出来ない(第三の脳・性格、行動、情緒、たくましさの脳)人の場合、まず第四の脳(知能、考える脳)で、「10ヶ月くらいの赤ちゃんでも腹這いになっていればタタミをなめているはず」「10ヶ月の赤ん坊でもしているのだから、自分にもできないはずはない」と自ら考え、自分に言い聞かせます。これは「自己洞察療法」頭の体操、気持ちの整理になります。
それができたら実際にタタミをなめてみます。これは第三の脳の働きで、わざわざ(演劇療法)、やる(行動療法)ことに意味があります。
もしこれができない人は、分かっちゃいるけどやめられない、言行不一致ということで、第三と第四の脳のあいだのパイプが詰っているということです。
くり返しくり返し実行すると脳は必ず馴れてしまいます(馴化療法)、そして必ずそれが身につき(適応療法)自分のものになってしまいます。タタミがなめられる性格、その分だけ大人物になったことになります。然し指導しても(第四の脳)、実行しない(第三の脳) 患者さんが多いものです。こういう患者さんは、やはり治療効果の面からみても学習効果は少ないです。