アレルギー科・呼吸器科・心療内科
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疾患別のご案内


咳喘息

 
 
咳はごく普通の風邪(気道感染)でも3週間ほど続くことは珍しくありません。3週間以上続いた咳は「遷延性咳嗽」と呼ばれ、8週間以上続くと「慢性咳嗽」と呼ばれます。咳喘息はこの慢性咳嗽を引き起こす代表的な疾患です。


1.全般的な特徴

 
咳喘息は喘息体質が作られていく途中に気道過敏性が一定の状態まで高まった時に発症します。
 
喘息では気道過敏性が過剰に高くなり、気候の変化・アレルギー・気道感染(気管支炎)などのさまざまな刺激によって気管支が収縮し、痰が大量に分泌されて喘鳴と呼吸困難が引き起こされます。これが喘息の発作です。
 
咳喘息でも気道過敏性は高まっていますが、喘息発作を引き起こすところまでは高まっていません。ですから咳喘息の症状は気道過敏性に由来する「咳」が主体であり、喘息の症状である喘鳴や呼吸困難は現れません。わずかでも喘鳴があれば咳喘息ではなく喘息と診断されます。
 
咳喘息は喘息の前段階とみなされており、数年のうちに3割までの患者さんが喘息を発症します。また小児喘息の8割までは咳喘息が「喘息発症の前触れ」として出現しています。 
 
 

2.症状

 
「風邪をひいた後に咳だけが長引く」のが咳喘息の特徴の一つです。咳喘息は風邪(気道感染)の後に現れやすい傾向があるのですが、その理由は気道感染には「気道過敏性を刺激して喘息関連の症状を悪化させる力が強い」という特質があるからです。
 
喘息死に至るような最悪の喘息発作の誘発要因のトップが気道感染であるという事実からも、気道感染の喘息関連の症状に対する悪影響は明らかです。気道感染は「既に発症している喘息では重症の発作を引き起こし、喘息発症前の咳喘息ではそれまで出ていなかった咳を引き起こす」という影響力を持っているのです。
 
咳喘息のもう一つの特徴は特有の咳の出方にあります。咳喘息の咳は寝入りばな・真夜中・明け方などの睡眠中に悪化します。日中出る場合には、会話・飲食・運動・冷気吸入・笑う・受動喫煙・刺激性の臭いなどの「気道が刺激される」ときに出る傾向があります。気道感染が続いている時には刺激がなくても日中の咳が出ることはあります。入浴中は治まることが多いのも咳喘息の特徴です。

 
 

3.原因についての考え方 

 
きゅうとく医院では咳喘息は「進展度が低い気管支喘息」と考えています。ですからその原因も喘息と同じであり、「毎日の生活の中での気管支のトレーニング不足のために、気管支でのアドレナリンとステロイドホルモンの働きが充実せず気道過敏性が高まったため」ということになります。詳しくは当HPの「喘息についてのきゅうとく医院の考え方」もご覧ください。

 
 

4.治療についての考え方 

 
咳喘息は喘息と同じように薬で根本的に治すことはできない病気です。薬は症状(咳)を抑えるために使用することになります。咳止めにはいろいろな種類がありますが、基本的には喘息性の咳ですから風邪の咳止めよりは喘息用の咳止めの方が効果があります。
 
日本呼吸器学会のガイドラインでは「喘息を発症させないように吸入ステロイドを2年間使用する」ことが推奨されていますが、咳喘息から喘息への移行率は30%程度ですから、咳喘息の患者さん全員に吸入ステロイドを使う必然性は高くはありません。
 
しかしながら30%は喘息に移行するのですから、治療にあたって最も大切なことは「喘息への移行リスクの評価」になります。気道収縮の有無、気道過敏性の程度、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、アレルギーの結果などをベースにして喘息への移行リスクを評価することによりその後の治療方針が定まります。
 
リスクが低いとき(気道収縮なし、FeNO正常、アレルギーなし、初めての咳または症状の繰り返しが少ない、など)は目先の咳を薬で押さえながら、冷水浴とか運動を励行して経過を観察します。リスクが高い場合には、抗ロイコトリエン剤、吸入ステロイドなども使用しながら喘息への移行を予防し、2年程度で薬を中止することを目指します。

 
 
 

 

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