■きゅうとく医院ってどんなところ?
きゅうとく医院は「生きるたくましさの診察」を専門としています
きゅうとく医院が考える「生きるたくましさ」とは
「生きるたくましさの診察」などというとなんだか奇妙に聞こえるかもしれませんが、「動物が成長する」ということは「生きるたくましさを身につける過程」ともいえるのです。この生きるたくましさは、魚や爬虫類などであれば生まれた時点ですでに完成しています。ライオンとかシマウマぐらいになると狩りの仕方とか危険を察知する能力などを身につけなければ一人立ちできません。さらにゴリラやチンパンジーになると群れの中で生きていくための処世術も必要になります。このように動物は進化するほど成長の過程の中で身に着けておかねばならない「生きるたくましさ」が多様化して複雑化してくるのです。
人間は特にこの傾向が強い動物です。人間の赤ちゃんは生まれた時には「親の顔も見分けられない寝たきり状態」ですが3歳頃には生き生きと活動的に暮らすための「身体機能のたくましさ」が備わり、さらに成長した思春期以降には、人生や人間関係のピンチに遭遇した時などに、悩んで工夫して困難を乗り越えるための「自我のたくましさ」も備わってきます。
この「身体機能のたくましさ」と「自我のたくましさ」が「生きるたくましさの基本」になります。そして日々の暮らしの中での大小様々な出来事に対して、この二つの「たくましさ」を使いこなして、家族や仲間とともに「思い通りではなくてもうまく生きていく」ことをやり遂げていく生活が健康な暮らしということになります。きゅうとく医院ではこの「うまく生きていくことをやり遂げるための総合力」が「生きるたくましさ」であると考えています。
「身体機能のたくましさ」は成長とともに充実します
生まれた時には寝たきり状態であった赤ちゃんでも、成長につれて身体機能が充実して活動性が増していきます。このような身体能力の充実を支える基本機能としては「呼吸機能、循環機能、消化機能、皮膚のバリア機能、免疫機能」の五つが最も重要になります。これらの機能は妊娠中はほとんど働いておらず、生まれた時には生きていくための最低限のレベルで働いています。そして成長とともにその機能を目覚ましく充実させて「身体機能のたくましさ」を完成させていくのです。
五つの基本機能のうち、呼吸機能を充実させることによって「常にしっかりと息ができる」気管支ができあがり、循環機能を充実させることにより「血圧を高めて全身に血液を循環させる」心臓ができあがり、消化機能を充実させることにより「自前でエネルギー補給ができる」ようになります。皮膚のバリア機能を充実させれば「乾燥に耐え水を弾き異物や感染をブロックする」皮膚になり、免疫を充実させれば「病原体から体を守りアレルギー体質にはならない」ようになります。その結果「思い切り動き回ることができる体」ができていくことになります。これらの身体機能は、6歳までにその基礎ができ15歳ごろまでにほぼ完成していきます。
そしてこれら五つの機能を充実させるために必要なものがアドレナリン系とステロイド系のホルモンです。これらのホルモンは「闘争と逃走のホルモン」とも呼ばれていて「体を思いきり動ける状態に変化させる」働きを持っているのです。これらのホルモンは妊娠中にはあまり働いていませんが、首が座るころから働き出して3歳から6歳にかけて「目一杯働かされる(ホルモンの分泌が促進される)」ことにより五つの身体機能を充実させていきます。ですからこの時期からは、これらのホルモンがしっかりと分泌されどんどん活性化されて、15歳ごろに向けて身体機能のたくましさを完成させていくような生活を送ることが重要になります。この時期での活性化が不十分なまま成長してしまうと、不安定な身体機能を備えた「体質」ができ上がってしまいます。
その体質により発生する疾患の代表的なものが、呼吸機能であれば気管支喘息であり、循環機能であれば起立性調節障害、消化機能であれば過敏性腸症候群、皮膚のバリア機能障害であればアトピー性皮膚炎、免疫機能であればアレルギー性疾患ということになります。これらの疾患では共通して「活動的に動き回ることを妨げる症状」が現れます。喘息では呼吸が苦しくなって動けなくなり、起立性低血圧では血圧が下がって動けなくなります。過敏性腸症候群では便意が行動を制限し栄養不足になり体力を消耗します。アトピー性皮膚炎では皮膚の炎症や細菌感染が頻発します。スギ花粉症では屋外での活動に制約が現れます。そしてこれらの疾患では(過敏性腸症候群を除いて)アドレナリン系およびステロイド系の薬が症状を改善させますから、これらの疾患は「アドレナリン系とステロイド系のホルモンの活性化不全」が共通した原因であるといえます。
「自我のたくましさ」も成長とともに充実します。
「自我」とは、周りと関わり合いながら今を生きている自分自身の「思考と感情と意思と行動の働きのすべて」を指します。つまりその人の「人柄」であり「生きる姿勢」ともいえます。自我は「自分と他人の区別がつく」ようになる1歳ごろに芽生え、そのころからの周囲との心理的な関わりを通して作られていきます。そして思春期ごろにはほぼ確立され、その後は多少の変化はあっても一生涯保たれます。「物心ついてから現在までの周囲(家族・友人・近隣・社会・地域)との心理的な関りの結晶体」がその人の自我であるということになります。
そしてこの自我はその人の「思考と感情と意思と行動」を無意識レベルで操作して、自動的にその人の「日常生活内での言動」を形成していきます。これが周りから「性格」とか「人間性」などとも呼ばれる、その人の「人柄」であり「生きる姿勢」になります。ですから自我が健全でたくましいほどその人の「生きる姿勢」も自動的に健全でたくましく、周りに振り回されるずに協調できるものになります。反対に自我のたくましさが不十分であった場合には、「年齢相応にうまく生きる」ことが難しくなり社会の中に居場所を作り辛いという問題が本人の気持ちとは無関係に現れてくることになります。
きゅうとく医院の専門分野では患者さんの生活そのものを治療対象と考えます。
ここまでお話ししてきましたように、きゅうとく医院は「人間の身体機能のたくましさと自我のたくましさはどのように形作られるのか?」という分野の研究と診療を専門としています。私たちはこの立場に立った医学を「人間形成医学」と呼んでいます。この考え方を治療に用いることにより、身体機能や自我のたくましさの不調による異常などの治療と予防が極めて効果的に行えるようになりました。その結果喘息やアトピー性皮膚炎、不登校や起立性調節障害などの予防や根治もそれほど困難ではなくなりました。
そしてすでにお話ししましたように、人間の生きるたくましさは「幼少期から現在までの日々の生活習慣」によって作られていますから、生きるたくましさを治療するということは「患者さんの日々の生活習慣を治療する」ことにほかなりません。私たちはこの考え方に基づいた治療法を「生活療法」と呼んでいます。生活療法は患者さんの生活習慣を心身両面から調整することにより、患者さんの「生きるたくましさ」を引き出し、症状を取り去り服薬も中止することを目指す治療法といえます。生活療法の詳細につきましては「人間形成障害」(祥伝社新書)などもご覧下さい。
専門領域の疾患と治療法
以上のような考え方によって、きゅうとく医院では次のような疾患と治療を専門とした診療を行っています。
専門とする疾患
- 気管支喘息(小児・成人)/肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)/長引く咳/咳喘息・アトピー咳嗽/スギ花粉症・食物アレルギーなどのアレルギー性疾患、/減感作療法(注射法〈SCIT〉及び舌下法〈SLIT〉)。
- 起立性調節障害/過呼吸症候群/過敏性腸症候群/慢性蕁麻疹/夜尿症・遺尿症などの心身症。
- 不登校/ひきこもり/いわゆる「新型うつ」と呼ばれる青年期の適応障害状態/不安障害・気分障害・パーソナリティ障害・強迫性障害・職場でのメンタルヘルス不調などの「うまく生きることが難しく社会に出辛い状態」をきたす疾患
専門とする治療法
- 吸入ステロイドを使わない小児喘息の根治療法
- 吸入ステロイドに頼らない成人喘息のコントロールと根治療法
- 吸入ステロイドに頼らない咳喘息の根治療法
- 肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)と在宅酸素療法(HOT)
- スギ花粉症・気管支喘息の減感作療法(注射法による免疫療法・SCIT)
- スギ花粉症の舌下免疫療法(SLIT)
- 食物アレルギーの経口的減感作療法
- 蜂アレルギーの急速減感作療法(現在は治療エキス輸入停止のため実施していません)
- 慢性蕁麻疹への心身医学的治療
- 不登校とその後のひきこもりなどの「社会参加が困難な状態」の改善を目指すための生活療法
- 起立性調節障害への生活療法
- パーソナリティ障害、社会不安障害、職場でのメンタルヘルス不調などの「うまく生きることが難しく社会に出辛い状態」への生活療法
「生活療法」の基本的な考え方
「専門外来のクリニックポリシー」でもご説明しましたように、生活療法はもともとは喘息の重症化を防ぐために考案された治療法です。そして昭和50年ごろには、この「不安をコントロールする」機能が喘息のみならず不登校や起立性調節障害、引きこもり、適応障害などの改善にも優れた効果を発揮することが分かってきました。
気管支喘息と不登校やひきこもりなどは当時では(多分現在でも)全く別の領域の疾患だと思われていたのですが、実は両者は根本の部分で「たくましさ」とか「不安」というキーワードで繋がっている病気だったのです。このような理由で、喘息の治療法として考案された生活療法が不登校やひきこもりなどに対しても効果を発揮することができたのです。
生活療法で医師が行う主要な仕事は、一人一人の患者さんについて、「あなたの喘息はこうすればよくなる」とか「子どもさんの不登校はこうすればよくなります」、「こうすれば人間関係に悩まなくてもすむようになれます」などという状態に向かえるように「患者さんの生活習慣を調整する」ことにあります。そのためには患者さんにも生活療法の基本方針を理解して頂いたうえで、「生活習慣を調整する方向性」を患者さんと一緒に考えて「当面の生活方針」を設定しなくてはなりません。
当面の生活方針は「それが実行できればたとえわずかであっても症状は必ず改善に向かう」という内容に設定します。このように設定できた生活方針を私たちは「健全生活」と呼んでいます。
そして当初の健全生活の設定の善し悪しがその後の治療効果に大きく影響しますから、患者さんの状況を十分に聞き取って全体の状況を確認しながら、「本当にこれでうまくいく(=症状が改善する)のか?」という検討と「全てに気を配って上手くやり遂げる」ための工夫などを積み重ねて生活方針の内容を練り上げ、患者さんに適した内容の「健全生活」を設定していきます。この健全生活の設定が具体的な治療の第一歩であり、医師が行う最初の最も重要な仕事になります。
健全生活がうまく設定されていれば、あとはそれを励行することにより症状は自動的に改善していきます。この関係はたとえば糖尿病であれば「運動と適正体重」が症状を改善させ、高血圧であれば「運動と減塩」が症状を改善させる関係にちょっと似ているといえます。
「健全生活の励行」が順調に進めば2~3カ月以内に症状は改善に向かい始めますが、治療開始後に様々な理由で健全生活の励行が難しくなることも珍しくはありません。このような場合は患者さんの自我の中の「思考・感情・意思」のいずれかが原因になって「行動」を妨げていることになりますから、その思考習慣などを分析して患者さんが「思い通りでなくてもいいからうまくいく」方向に進めるような対策を提案して助言することが、医師が行う二つ目の重要な仕事になります。
生活療法は患者さんの「生活を調整する」ことにより症状を改善させる治療法といえますが、この「生活を調整することのみで症状が改善して薬を中止することもできる」という事実は、喘息や不登校やひきこもりなどの患者さんたちにはもともと自然治癒力が備わっているということと、患者さんの現在の生活習慣がその自然治癒力を減弱させていることを示しているといえます。
私たちは生活療法については、患者さんの生活習慣を調整することにより「患者さんの身体機能と自我のたくましさ」を活性化して、患者さん自身が持つ自然治癒力を健全に機能する方向に誘導する治療法であると考えています。ですから生活療法は「患者さんの再成長を促す治療法」であり「認知行動療法」の応用型ということもできます。
詳しくは「専門外来のクリニックポリシー」なども御覧ください。
人間形成障害
この人間形成障害型の社会では、親がまったく普通の子育てをしているつもりであっても、子供たちに様々な問題が「予測もできない状況で自動的に」現れてくるようになります。
ぜんそくは自分で治せる
気管支ぜんそくの臨床は、いままでの『わからない・治らない』という時代から『原因を分析し実行すれば治る』時代に入ったのです...」。
ぜんそく根治療法
通院できない患者さんであっても、自宅で総合根本療法を実行して喘息を治していくことができるだけの知識を執筆されています。
ここまで治せる
不登校 ひきこもり
不登校をご家庭で「治す」ことも「予防する」ことも十分に可能です。不登校の解決は決して難しいものではないのです。