ぜんそくジャーナル

 

127号ジャーナル

【小児喘息-何才までに治すとよいか】                    

 

■ 小児喘息の予後

「『大人になるまでには治るから心配しなくてもよい』と言われて近くの病院に通っていましたが、入学しても軽くはならずに、もうじき中学生ですが、最近は前よりも悪くなってきました」と言われて、久徳クリニックを受診される患者さんも、年間、かなりの数にのぼります。
ジャーナル121号にも書きましたように小児喘息の自然治癒率は、「大人になるまでに40~60%が治る」程度です。「半分しか自然治癒しませんよ」というのが実状なのです。
 

■何才までに治すとよいか

やはり、小児喘息は楽観的には考えないほうがよさそうです。
久徳クリニックでは、再発防止のアフターケアも含めても、2~3年で治してしまおうという方針を取っています。もちろん、一日でも早く治してしまうにこした事はありせんが、あわててあせって治療するのも好ましくありません。総合根本療法をはじめるにあたっては、年令に応じて、「何才までに治すとよいか」を知っておくことも大切です。(73号も見て下さい)
 
①3才以下の喘息→3~4才までに治せれば理想的。遅くとも入学までには治しましょう。
②3~6才の喘息→入学までに治すのが理想的。
人間形成医学の立場から考えれば、入学までに治してしまえば、一生を通じての再発率も、大きく低下するはずです。
③小学校低学年の喘息→10才ごろまでには絶対に治すつもりで。
④小学校高学年の喘息→小学校卒業までには治そう!
③④は本当に大切なことです。
 
小学校低学年のうちは、発作で苦しくても「その場限りの苦しさ」ですむことが多いのですが、大人の仲間入りの年令である10才ごろからは、次第に「先のことを考える」ようになってきます。「治るだろうか?」とか「一生苦しむのか?」というような、「先行きに対しての不安」が出てくることがあります。この不安により心理的にあと向きになってしまったり、喘息にひけめを感じてしまうと、よけいに治りにくくなってしまうのです。この傾向は中学に進むとより強くなり、思春期の難治性喘息にも移行しやすくなります。