ぜんそくジャーナル
127号ジャーナル
【ぜんそく治療Q&A /減感作療法について】
Q:「減感作療法は効果がないからやる必要はない」と近所の病院で言われましたが、本当なのでしょうか?
A:減感作(又は脱感作)療法については、ジャーナル28号も参考にして下さい。
この治療法は、「喘息を治すのに効果があるのか?」と尋ねられた場合には、「なんともいえない」としか答えられません。しかし、「効果がない」というのもまちがいなのです。
なんだか要領を得ない答えですが、その意味について説明しましょう。
まず、大切なことは、次の2点をしっかり理解しておくことです。
①喘息は、アレルギーという一つの原因だけでおこる病気ではなく、心、体、アレルギー、感染などがからんだ、「多因子性疾患」であるということ。
②減感作療法は、アレルギーに対しての治療法ということ。
この2つの定義を見ただけで「あっ、そうか!」と、理解できてしまう方は、総合根本療法がかなり理解できている方です。
減感作療法は、あくまでもアレルギーに対しての治療法なのです。ですからアレルギー反応によってひきおこされている発作に対しての効果しかありません。
その効果は、ハウスダストの吸入負荷試験で調べた場合、約70%までの人に効果がある (ホコリを吸っても発作がおこりにくくなっていく)と言われています。
しかしながら、喘息の発作はアレルギー以外の原因でもひきおこされています。心理的なきっかけ、身体のバランスの乱れなどでも、発作はひきおこされているのです。
このような、「アレルギー以外の原因でおきている発作」に対しては、減感作療法の効果は期待できません。期待する方が無理な注文なのです。
たとえば、心理的な原因が7割、体のバランスの乱れが2割、アレルギーが1割という比率で喘息になっている患者さんがいるとします。この患者さんに減感作療法を実施しても、それで改善がみこまれるのは、喘息全体のうち、アレルギーでひきおこされている部分(1割)の70%にすぎません。つまりその患者さんは、減感作療法だけでは7%の改善しかみこめないのです。
これとは逆に、原因の8割までがアレルギーという患者さんなら、減感作療法により56%までが改善してしまうことになります。注射をするだけで、半分以上よくなってしまうのです。
「喘息はアレルギーだから」と画一的に減感作療法を行うような利用法の場合は、アレルギー以外の原因のしめる割合の多い患者さんほど、改善しにくくなります。しかし、これは、「減感作療法に効果がない」のではなく、総合的な根本療法が行われていないためなのです。